人体の不思議展

私にしては抜群に軽いフットワークで、行きたいと宣言してからあっという間に、実行に移して参りました。と言っても友達に誘われたからなんだが。昨日のあほみたいな雨が世の中の汚いもの全てを洗い流したかのような、そんな澄んだ青空のもと、昼前からさいたまスーパーアリーナへ。
駅を出ると、予想より人が少ないので戸惑う。あれー少ないね、あ、でも、アリーナまで少し歩くみたいだからそっちには人がたくさんいるのかもね。5分も歩かないうちにジョンレノンミュージアムが姿を現す。あれ…あ、でも、人体の不思議展はこの階段を下りたところみたいだから、そこには人がたくさん並んでるんだろうね。落ち葉の溜まったエスカレーターで下へ。あれ、全然並んでないね。かくして閑散とした不思議展に若干肩を落としたふたりは乗り込んだのだった。
でも、展示を見ているうちにテンションはうなぎのぼり。ふたりで地味に興奮しながらひとつひとつ丹念に見て回った。周囲の目を臆することなく、下から覗き込んでみたりとか。脳みそも持ち上げたし、触れられる「からだ」には触れてみた。
小さな子供が腕の筋肉をみて「ビーフジャーキーみたい」と言っていたけど、まさにそのとおり。鶏の骨付き唐揚げとか豚足も想起した。おなじ仕組みをもっているんだなぁと改めて思った。
ふたりの興奮が最高潮に達したのは、全身の血管をからだのかたちで展示したもので、なにが凄いって肺が凄かった。肺の毛細血管は、それだけで肺そのものを形作っていた。そっかぁ、酸素取り込むもんね、肺は。珊瑚礁みたいだね。そして顔面には動脈が多い。そっかぁ、だから顔の辺り切ったら傷は大したことなくてもたくさん出血するんだね。
でも、楽しかったけど予期していたほどの感動は特になく、いのちの神秘に改めて感じ入ることもなく、そこが少し悲しくもあり。最先端の技術を駆使して作られた標本なのだろうが、私には、中学の頃に理科室で見たホルマリン漬けの牛の脳の方がリアリティを感じられたのであった。不思議不思議。まぁ感動すればいいってもんじゃないので、充実していたのでよしとする。


追記:マユツバものらしい、この展覧会。興醒め。私は興醒めすることが多い。