リア充の会へようこそ

ゼミ企画始動!今日はゼミ有志でとある映画を見に行った。映画じたいは21時過ぎからだったのだが18時半に集合、まずは飲み会から。なんとふぉいやーの人がいたとはね。肉食系男子を叩いていたはずが、途中で危うく私も叩かれそうになる。どこにそんな記述があったのだろう……鋭意検索しなければ。
そしてお待ちかねの映画は、渋谷ユーロスペースにて。

分断されていた西ドイツと東ドイツのセックスを考察するドキュメンタリー映画。壁の崩壊後、西側の科学者たちが謎のベールに包まれていた東の生活実態を調べたところ、次々に驚くべき真相が明らかになった……という感じのおはなし。上映時間は約50分と短いが、速いテンポの中にシニカルなアニメーションや様々な学者の考察、そして当時の貴重な映像が織り込まれ、充実の情報量である。
人々が自由を享受していた西ドイツ。誰かが望むものならそこにはすべてが揃っていた。自由な恋愛も、ポルノグラフィ始めとする様々な性産業も。しかし、道徳規範を握っていたのは教会であり、特に性道徳に関しては「知らぬ存ぜぬ」的な態度を貫きとおし、若者に対する性教育すら行われていないという実態があった。対する東ドイツは労働から日々の生活まですべてを党が支配していたわけだが、意外なことに、恋愛に関してはかなり寛大な態度をとっていた。性教育はしっかりと、国営放送(?)でオープンに語られる。子どもは早いうちから異性とステディな関係を構築し、愛情が前提の婚前交渉であれば社会的な承認が得られていた、というのには驚いた。そして22歳くらいまでに結婚して子どもを産むのが標準的だったらしい。そこには、夫婦が若くとも結婚すれば住居が与えられ、女性も大切な国の働き手であるがゆえに子どもをもっても充分働けるような設備が整えられていた、という社会主義国ならではの背景が影響していた。それに対して、西ドイツでは、戦中は自立していた女性が戦後は再び家庭に入り、性別役割分業が徹底されていったというのは日本とよく似たところである。
昨日もちらっと書いたが、本能的な部分だと思いがちな性の領域にも絶対に規範なるものは入り込んでおり、その性規範が社会のしくみに準拠してつくられているということが東西の対比によって分かりやすく描かれていた。当時の東独の女性の「特定の恋人なんて必要ないわ」ということばが強く印象に残っている。また、同じピルの名前が西では「避妊用ピル」、東では「妊娠用ピル」だったというのも象徴的なエピソードだと思う。
もちろんつっこみたいところも多々あり、まずはその貴重なる映像の出典を示してほしいということ。それから、訳知り顔で専門家によって語られる解説も、「証拠は?データは?」と問いたいところが多々あった。
また、映画は「東ドイツは豊かな性生活が送られていたようですねー、それに対して西ドイツ、そして現在の私たちのくらしはどうなんでしょうねー」みたいな感じで終わるのだが、上映終了後のみんなの話し合い*1では「では東ドイツのモテ格差における負け組はどうしていたのか」ということが議論になっていた。いわく、西の負け組はポルノなりストリップなりを代償として消費すればよいが、そのような選択肢のない東の負け組はその衝動をどこに向けていたのか、と。なるほどね。
最後に一応断っておくと、大変まじめな科学ドキュメンタリーです。規範とか倫理なるものについて、あるいは個人的なことと考えがちな性の問題もすべからくして政治的であるということについて、一考するよい機会になると思います。
眠くて感想がまとまらないけれど--; 次の企画は自由が丘スイーツ!スイーツ!

*1:映画館を出たところで輪になって話し合っていた笑