党生活者

昨日のエントリに書いた『蟹工船』。同時収録の『党生活者』を今日読んだのだが、こちらの方が数段上の面白さだった。戦争特需で大量に雇われた臨時工たちを描いているというのが、近年話題にのぼるところの日雇い派遣労働により重なるというのもあるが、そもそも物語に引き込む力がなんだか違う。と思ったら、党生活者は小林多喜二の死の前年である1932年に書かれた、彼の晩年をかざる力作であると同時に、当時のプロレタリア文学の最高水準を示す作品でもあった、と解説が解説してくれた。
この解説は非常に「ふむふむ」と納得させてくれるような類の解説で、特に「小林の『党生活者』のうちにはこの時代の運動の英雄的な、自己犠牲的な面とその若干の歪みとが反映されている」のくだりにはまったく同意。そして解説文は以下のようにしめくくられている。

小林のこれらの作品はその若干の欠陥にもかかわらず、日本の新しい国民文学の古典として高く評価され、日本の民主化のためのたたかいがいかに困難な道をたどって来たかということを知るためにも、ひろく国民全体に読まるべきものであると思う。

だって。ということでみなさん読みましょう(・∀・)!