3月9日

今週は朝礼当番なので,毎朝大声で日付を宣言している。今朝は,あ,今日はさんがつここのかだ,と思った。実際の歌はどんなのか知らない。
今日は一日中社内にいたので,天気の移り変わりにまったく気づかなかった。あわや昼食抜きかというくらい追い詰められていたので,窓の外を見やる余裕もなかったのだった。20時過ぎて退社したが,天気予報どおり本当に雪が降っていてびっくりした。今年は本当に変な気候だ。
最寄り駅からの帰り道,また坂道に怯えながらゆっくりと歩いた。私はひとより歩くのが下手なのだろうか。みんな私をどんどん追い抜いて歩いていく。寒いので私も早く帰りたいのはやまやまなのだが,何せ気を抜くとすぐにつるっと滑るので,慎重に一歩一歩,パンプスで踏みしめられる限りは踏みしめて歩くしかない。ちなみに,何度も「ひとより歩くのが下手なのだろうか」と自問しているとこの問いは別の意味を帯びてくるため,気をつけたほうがよい。
3月だし,暦の上では春だし,このような時期に降る雪こそ「なごり雪」なのだろうと思い当たってからは,思いっきり歌いながら歩いた。なごり雪の降る時を知り,ふざけすぎた季節のあとで。時が行けば幼い君も大人になる,と気づかないまま。このメロディーのところがいちばん切ない歌詞だな。歌いながらどんどんものがなしい気分になり,選曲に失敗したと悟った。ぴったりのはずだったのに。
ちょうど歌い終わるところで,寮の門にたどり着いた。