バス

久し振りにバスに乗った。
電車よりも路線が短い分、電車よりも格段に地元に密着している訳で、窓から住宅街を見ているだけで、気分は軽く異邦人だ。知らない道、知らない家、知らない地名、知らない人、人、人。酔ってしまうから本を読む訳にもいかず、ただただぼーっと窓から見える景色を追いかける。たまにバス通学していた高校時代が懐かしく思い出される。
車内には運転手さんと私だけになってしまった終点間際、バスは少し見晴らしのいい高台に出た。窓の下には飾り気のない夜景が広がっていた。どの灯りにも、ひとの息吹が感じられるような、あたたかな夜景。もう少し見ていたかったけれど、バスはすぐに走り出した。