ようやく

のびきったゴムのような生活から、文化的活動への復帰第一歩。
ピカソ展@岡山県立美術館に行ってきた。予想をはるかに凌ぐ盛況ぶりだった。岡山をなめてました、ごめんなさい。
母は「やっぱり油絵がいい」と言っていたが、私は何より版画が面白いと思った。ピカソは版画に強い興味関心を持ち続けていたらしく、様々な種類の手法による、膨大な作品群を遺しているのだ。いわゆる「名作」の隙間を埋めるように存在する、このようなラフな作品があって初めて、「名作」の意味や存在意義がはっきりするように思うのだが。それにそのこと以上に、作品として見て純粋に面白かった。自身をミノタウロスに擬え、欲求や懊悩をストレートに表現している作品群などは、黒と白だけの版画でありながら何ともいえないドロドロ感があったし。
また、晩年になっても執拗に裸婦像を描いていたのも非常に印象的だった。大抵の裸婦像のポーズがあれな感じ。これ以上何をか言わんや。これほどの大家が、これほどまでに齢を重ねても、ひとりの男性としては、女性という存在は永遠の神秘にほかならなかったのかなと思いを馳せます。また、エロスこそ生命の根源であり“わたしはどこから来たのだろう”という問いに答えるものとして描かれたのかもしれない、とも。
そんなピカソ展。壺とか陶器の作品群もよかったなぁ。