見放されてしまいそうだ

哀しい予感 (角川文庫)

哀しい予感 (角川文庫)

この本を初めて読んだのはいつだっただろうか。登場する主人公とそのおばとの関係に、自分と自分の伯母を重ね合わせて読んだものだ。本そのものは実家に置いてきてしまったけれど、私は今も時々、哀しい予感に襲われる。

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私的な文章というのは本来、ものすごい力を秘めているのだ。解釈に誤りがあると恥ずかしいんですが、日本で私小説というものが確固たる地位あるいは一時代を築き上げたのも心から頷ける。「心から頷く」って動作にしてみようとすると変だけど。最近とみにぐだぐだと書き連ねているだけの自分のこのブログのあり方について、反省せざるを得ない。そう言っている間にもぐだぐだぐだ。

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読みたい。ハードカバーは高い…けど買ってもいいかあ。今日の朝日新聞に載っていた著者*1のことばがあまりに素敵だったので。

素粒子を観測するカミオカンデのように、水をたたえた深いタンクが自分の心のなかにあります。そこにニュートリノのようなものが遠くから前触れもなしに飛び込んできて、何かしら魅惑的な反応が起こる。それを鮮明に見ているのに、一行として満足に書き写せず、一行ずつ失敗していくのが小説です。

夜明けの縁をさ迷う人々

夜明けの縁をさ迷う人々

*1:高校の先輩!