夜景

ゆりかもめから眺める夜景はきらきらしていてとてもきれいだった。夜景がきれいなのは東京の特権だと思う。でも、きれいだけれど、あるいはきれいなぶん余計に、見ていると苦しいほど悲しい気分になる。胃がきゅんと縮みあがるような寂しさ。それは地元の、同じ夜景という意味では格段に寂しい夜景を見ているときには全く感じることのない寂しさなのだ。私はきっとこれからもしばらくの間はこの街で生きてゆくし、さらに恐らくはそのきらきらの陰で働くひとりになるというのに、困ったことだと思った。
もうひとつ、結構揺れるゆりかもめに揺られながら、守秘義務というものについて考えていたのだが、全く考えがまとまらなかった。業務を円滑に進めるために守秘義務があるのです。人生を円滑に営むために守秘義務があるのです?