心の空洞を埋める
4限に出るまでの30分間だけ読むはずが、気づけば1時間経過していた。さよなら4限。結局ちょっと読み飛ばしてしまった部分もあるけど、読みましたぞ。
- 作者: いのうえせつこ
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2002/09
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手始めに男女各100人に対するAV意識調査を行っているのだが、対象が著者の知り合いに限定され、しかも回収率が男性50%・女性55%と芳しくなく、この結果をもってどの程度「AVに対する意識が明らかになった」と言ってよいのかは甚だ疑問である。卒論レベルとあまり変わらないような気もする。このようにちょっと中途半端感が否めない部分もあるのだが、AV産業の歴史を辿ることで、業界構造そのものが“自転車操業”状態にあることを明らかにし*1、そのひとつの帰結として「レイプ」ものが隆盛している*2というのは興味深い指摘であると思った。しかしこれだけでは依然として、「レイプ」ジャンル人気(まぁ本当に人気があるのかどうかは分からないが)の理由の説明にはなっていない。そこはもっと強く主張してもよいのではないかと思った。
卒論に関係あるかと思ったら殆ど関係ない方向に議論が展開していったが、そこそこ興味深く読めた。特に目新しい記述があったわけでもないが、映画『ピアニスト』の主人公の女性を例に挙げ、「性的欲望は本能ではない」と述べているところは印象に残った。「性の知識は人間が本能的に持っているものではなく、その人が育つ社会環境の中で身につけていくもの」このことに自覚的なひとは、特にこのホモフォビアに満ち満ちた世の中において、どれくらいいるのだろうかと思った。と卒論に関連付けてみる。
とにかく、一兆円市場とも言われる巨大産業であるにも関わらず、その構造はいびつであり、結局女性は搾取されているのではないか、ということか。「だってこれ、仕事でしょ」「儲けてるんだからいいじゃない」などと思っている方、ぜひご一読を。
あと、これを斜め読み。
- 作者: 芹沢俊介
- 出版社/メーカー: 雲母書房
- 発売日: 2002/05/01
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実は文学部3号館図書館はこれがお初でした。手回し式書棚が楽しい。